第二種電気工事士に合格したら免状申請はどうする?申請先・必要書類・手数料を確認
第二種電気工事士は、試験に合格しただけでは電気工事の作業に従事できません。免状の交付を受けて初めて従事できます。申請先は受験した場所ではなく、住んでいる都道府県です。手数料は5,300円で、これは政令が全国共通の標準額を示しているためどの都道府県でもほぼ同じです。一方で、受付をどこがやるか、どう払うかは都道府県でかなり違います。順に確認します。
結論:免状の交付を受けるまでは作業に従事できない
電気工事士法第3条第2項は「第一種電気工事士又は第二種電気工事士免状の交付を受けている者…でなければ、一般用電気工作物等に係る電気工事の作業…に従事してはならない」と定めています。
条文が基準にしているのは「試験に合格した者」ではなく「免状の交付を受けている者」です。合格は免状を受けるための条件(法第4条第4項第1号)であって、合格そのものが従事の資格になるわけではありません。
| 段階 | できること |
|---|---|
| 試験に合格 | 免状の交付を申請できる |
| 免状の交付を受ける | 一般用電気工作物等の電気工事の作業に従事できる |
※ 電気工事士法第3条第2項・第4条第4項より(確認日 2026-10-07)。受験そのものの条件は未経験でも受けられるで扱っています。
申請先は「住所地を管轄する都道府県知事」
電気工事士法施行規則第6条第1項は、申請書の提出先を区分して定めています。試験に合格した人(法第4条第4項第1号に該当する者)については「その者の住所地を管轄する都道府県知事」です。
基準は住所地です。受験した会場のある都道府県でも、就職先のある都道府県でもありません。試験センターに申請するのでもありません。
★登録販売者とは、基準が逆になっている
当サイトでは登録販売者も扱っています。どちらも都道府県に出す手続きですが、何を基準に提出先が決まるかは正反対です。
| 資格 | 提出先の基準 | 根拠 |
|---|---|---|
| 第二種電気工事士(免状交付) | 住所地 | 電気工事士法施行規則第6条第1項第1号 |
| 登録販売者(販売従事登録) | 最初に働く店舗の所在地 | 薬機法施行規則第159条の7第1項 |
登録販売者では「住んでいる県では登録できない。勤務先の県で」と案内されます。電気工事士は逆で、住んでいる県に出します。「資格は都道府県に申請するもの」という一般論でまとめると、どちらかで間違えます。資格ごとに条文を見るほうが確実です。登録販売者側の詳細は他県で合格して地元で働ける?にまとめています。
★手数料5,300円は、なぜどの都道府県でも同じなのか
手数料を決めるのは都道府県の条例です。それでも金額がそろうのは、政令が標準額を示しているためです。
地方自治法第228条第1項は、手数料について「全国的に統一して定めることが特に必要と認められるものとして政令で定める事務」を「標準事務」とし、その手数料は「政令で定める金額の手数料を徴収することを標準として条例を定めなければならない」としています。
その政令が「地方公共団体の手数料の標準に関する政令」です。電気工事士免状に関する事務(第73項)の金額は次のとおり定められています。
| 手続き | 政令が定める金額 |
|---|---|
| 第一種電気工事士免状の交付 | 6,000円 |
| 第二種電気工事士免状の交付 | 5,300円 |
| 免状の再交付 | 2,700円 |
| 免状の書換え | 2,700円 |
※ 地方公共団体の手数料の標準に関する政令・第73項より(確認日 2026-10-07)。原文は漢数字で「五千三百円」等と記載されています。
★5,300円は「どこの都道府県も偶然同じ」なのではなく、政令が全国共通の標準として示している金額です。だから東京都でも大阪府でも高知県でも同じ額になります。
ただし条文は「標準として条例を定めなければならない」であり、条例を定めるのは各都道府県です。金額そのものは、申請先の都道府県の案内で確認してください。再交付・書換えの2,700円も同じ構造です。
この5,300円に消費税はかからない
消費税法の別表第二第5号イは、国・地方公共団体「その他法令に基づき国若しくは地方公共団体の委託若しくは指定を受けた者」が法令に基づき行う事務で、手数料の徴収が法令に基づくものを挙げています。対象の事務には次が含まれます。
- (1)登記、登録、特許、免許、許可、認可、承認、認定、確認及び指定
- (3)公文書の交付(再交付及び書換交付を含む)、更新、訂正、閲覧及び謄写
免状の交付手数料はここに当てはまるため、税率が変わっても5,300円という数字自体は動きません。税込・税抜を気にする必要はない金額です。
★条文に「委託若しくは指定を受けた者」が明記されている点も効いています。次に見るとおり、受付を外部へ委託している都道府県がありますが、委託先が受け取っても扱いは変わりません。
金額は同じでも、受け取り方と払い方は違う
そろっているのは金額だけです。実際の窓口と納付手段は都道府県ごとに違います。3つの都道府県の公表内容を並べます。
| 都道府県 | 受付をするところ | 申請方法 | 手数料の納め方 |
|---|---|---|---|
| 東京都 | ヒューマンアカデミー株式会社に委託 | 窓口持参・郵送 | 公表ページに記載なし |
| 大阪府 | 府が直接受付 | 窓口持参・郵送・電子申請 | 窓口で現金/コンビニ納付/電子申請ならクレジット |
| 高知県 | 高知県電気工事業工業組合に委託 | 公表ページに記載なし | 高知県収入証紙5,300円分 |
※ 各都道府県の公表ページより(確認日 2026-10-07)。この3件は例であり、他の都道府県は各自の案内で確認してください。
東京都と高知県は受付そのものを外部に委託しています。高知県は収入証紙での納付なので、先に証紙を買う手間が加わります。大阪府は電子申請とクレジット決済に対応しています。
同じ5,300円でも、用意するものと動き方は変わります。「全国共通の手続き」と思って他県の説明を読むと、ここでずれます。
必要書類と、住民票が要る県・要らない県
電気工事士法施行令第2条は、申請書に「該当する者であることを証明する書類その他の書類及び写真」を添えて都道府県知事に提出しなければならないとしています。
第二種で「該当することを証明する書類」にあたるのが、試験の合格を示すものです。高知県は必要書類として次を挙げています。
- 電気工事士免状交付申請書
- 合格通知はがき(第二種電気工事士試験結果通知書)
- 住民票等の写し1通
- 写真1枚(縦4cm×横3cm、裏面に撮影年月日・氏名、無帽無背景、申請書提出前6か月以内に撮影)
- 高知県収入証紙5,300円分
★住民票の扱いが県で違う理由
施行規則第6条第2項は、都道府県知事が住民基本台帳法の規定により本人確認情報を利用することができないときに、住民票の写し等を「提出させることができる」と定めています。
条文の建て付けでは、住民票は常に必要なものではなく、照会できない場合に求めるものです。実際には、はじめから提出を求める都道府県もあります。必要書類の案内が県によって違って見えるのは、この裁量の幅によるものだと読めます。
手元の案内と他県の案内が食い違っていても、どちらかが誤りとは限りません。自分の申請先の案内に合わせてください。
★免状に住所は載らない。引っ越しても書換えは不要
電気工事士法施行令第3条が定める免状の記載事項は、次の3つです。
- 免状の種類
- 免状の交付番号及び交付年月日
- 氏名及び生年月日
★住所は記載事項に入っていません。書換えが必要になるのは「記載事項に変更を生じたとき」なので、転居だけでは書換えの対象になりません。氏名が変わったときは対象になります。
申請先は住所地で決まるのに、免状には住所が載りません。つまり住所は「最初にどこへ出すか」を決めるためだけに使われる構造です。登録販売者の名簿にも勤務先や住所は入っておらず、同じ考え方になっています。
書換えは義務、再交付は任意。どちらも交付した都道府県へ
| できごと | 手続き | 提出先 |
|---|---|---|
| 引っ越した | 手続きなし | — |
| 氏名が変わった | 書換えを申請しなければならない | 免状を交付した都道府県知事 |
| 免状をよごした・損じた・失くした | 再交付を申請することができる | 免状を交付した都道府県知事 |
| 再交付後に失くした免状が出てきた | 遅滞なく提出する | 再交付を受けた都道府県知事 |
※ 電気工事士法施行令第4条・第5条より。
★提出先はいずれも「当該免状を交付した都道府県知事」です。引っ越したあとでも、やり取りする相手は最初に交付を受けた都道府県のままになります。
書換えは「申請しなければならない」、再交付は「申請することができる」と書き分けられています。氏名変更は義務、紛失は任意という違いです。ただし次に書くとおり、免状は携帯が必要なので、紛失したままでは実務上こまります。
作業のときは免状を携帯しなければならない
電気工事士法第5条第2項は、電気工事の作業に従事するときは「電気工事士免状…を携帯していなければならない」と定めています。
「交付を受けていること」だけでなく「持っていること」まで求められます。免状の交付を急ぐ理由はここにもあります。交付までの期間は都道府県で違い、大阪府は「申請受付日から約2週間後に郵送」としたうえで、合格発表直後は「免状交付まで1ヶ月半程度要する場合もあります」と案内しています。
返納を命じられると、全国の都道府県に伝わる
施行令第6条は、都道府県知事が免状の返納を命じたときは経済産業大臣に通知し、経済産業大臣は「その旨を同項の都道府県知事以外の都道府県知事に通知しなければならない」としています。
交付は各都道府県が行いますが、返納命令は国を経由して全都道府県に共有される仕組みです。別の県で取り直す、という形にはなっていません。
ケース別に見る
- 他県の会場で受験した:申請先は住所地の都道府県。受験地は関係ない
- 合格後、就職先が他県に決まった:申請先は住所地。転居前なら元の住所地、転居後なら新しい住所地になる
- 合格したが、まだ電気工事の仕事に就いていない:免状の申請自体に就業の条件はない(施行規則第6条は住所地だけを基準にしている)
- 免状を取ったあとに引っ越した:書換えは不要。記載事項に住所がない
- 結婚して姓が変わった:書換えを申請する。提出先は交付を受けた都道府県
- 第一種も取りたい:第一種は免状の交付に実務経験が関わる(法第4条第3項第1号)。第二種とは条件が違う
まとめ
- 第二種電気工事士は、免状の交付を受けるまで電気工事の作業に従事できない(法第3条第2項)
- 申請先は住所地を管轄する都道府県知事。受験地でも勤務先でもない
- ★登録販売者は勤務先の店舗の所在地が基準で、基準が逆になっている
- ★手数料5,300円は政令が示す全国共通の標準額。第一種6,000円、再交付・書換えは2,700円
- この手数料は消費税の対象外。委託先が受け取る場合も同じ
- 金額は同じでも、受付をする主体も納付手段も都道府県で違う(委託/直接受付、収入証紙/コンビニ/クレジット)
- 住民票は条文上「本人確認情報を利用できないときに提出させることができる」もの。県によって案内が違うのはこの裁量による
- ★免状に住所は載らない。引っ越しでは書換え不要、氏名変更では必要
- 書換えは義務、再交付は任意。どちらも交付を受けた都道府県へ出す
- 作業に従事するときは免状の携帯が必要(法第5条第2項)
- 返納命令は経済産業大臣を経由して他の全都道府県に通知される
受験そのものの条件は未経験でも受けられる、必要な費用は通信講座は結局どこが安いか、技能試験の準備は不器用でも受かるのかにまとめています。
情報源:e-Gov 法令検索「電気工事士法」(昭和35年法律第139号)第3条・第4条・第5条、同「電気工事士法施行令」(昭和35年政令第260号)第2条〜第6条、同「電気工事士法施行規則」(昭和35年通商産業省令第97号)第6条・第8条・第9条、同「地方公共団体の手数料の標準に関する政令」(平成12年政令第16号)第73項、同「地方自治法」(昭和22年法律第67号)第228条、同「消費税法」(昭和63年法律第108号)別表第二第5号、東京都環境局「電気工事士免状」、大阪府「第二種電気工事士免状交付申請について」、高知県「第二種電気工事士免状の交付申請について」(確認日 2026-10-07)