他県で合格して地元で働ける?受験地・合格・販売従事登録を整理
他県で受けた試験に合格して、地元で働くことはできます。受験する場所、合格が通用する範囲、販売従事登録をする都道府県は、それぞれ別の決まり方をします。さらに、登録したあとに別の県へ転職しても、登録し直しません。最初に受けた販売従事登録証をそのまま使います。順番に確認します。
結論:4つの段階が、それぞれ別に決まる
| 段階 | どこで決まるか |
|---|---|
| 試験を受ける場所 | 住所に関係なく自分で選べる |
| 合格が有効な範囲 | 全国 |
| 販売従事登録をする都道府県 | 最初に働く店舗の所在地 |
| その後、別の県へ転職したとき | ★登録し直さない。最初の登録証を使う |
※ 確認日 2026-10-07。根拠は本文に記載しています。
迷いやすいのは3段目と4段目です。「住んでいる県で登録するのか」「転職のたびに登録し直すのか」は、どちらも違います。
試験を受ける場所は、住所に縛られない
東京都のQ&Aには、他の道府県で受験してもよいかという質問に対して「かまいません。合格した都道府県と勤務する都道府県が違っても合格は有効です」と記載されています。
ここは受験資格はない、他県でも受けられる?で扱っているとおりです。この記事では、合格したあとの登録のほうを詳しく見ます。
★都道府県が実施する試験なのに、なぜ合格が全国で通用するのか
試験そのものは都道府県が行います。それでも合格が全国で有効なのは、法令の組み立てがそうなっているためです。
- 法第36条の8第1項:「都道府県知事は、一般用医薬品の販売又は授与に従事しようとする者がそれに必要な資質を有することを確認するために…試験を行う」
- 同第2項:「前項の試験に合格した者…であつて、医薬品の販売又は授与に従事しようとするものは、都道府県知事の登録を受けなければならない」
- 施行規則第159条の7第2項第1号:申請書に添えるのは「登録販売者試験に合格したことを証する書類」
添付書類の定めは「登録販売者試験に合格したこと」とだけ書かれていて、どの都道府県の試験かを限定する文言がありません。施行規則の全文を検索しても「当該都道府県の登録販売者試験」といった限定表現は0件でした(確認日 2026-10-07)。
つまり「全国共通の資格だと定めた条文がある」というより、合格の効力を実施した県の中に閉じる規定が置かれていない、という形です。東京都の合格証明を大阪府の登録申請にそのまま使えるのは、このためだと読めます。
販売従事登録は「最初に働く店舗の所在地」の都道府県
施行規則第159条の7第1項は、申請書を「医薬品の販売又は授与に従事する薬局又は医薬品の販売業の店舗の所在地の都道府県知事」に提出しなければならないと定めています。配置販売業の場合は「配置しようとする区域をその区域に含む都道府県の知事」です。
大阪府のQ&Aでは、大阪府に住んでいるが他府県で勤務している場合に大阪府で登録できるかという質問に対して「できません。勤務先の都道府県で販売従事登録してください」と回答しています(2024年5月14日更新)。
基準は住所地でも受験地でもなく、働く店舗の所在地です。受験した実施主体が登録まで扱うわけでもありません。
勤務先が決まらないと申請できない理由
同条第2項第4号は、申請者が薬局開設者または医薬品の販売業者でないときは「雇用契約書の写しその他…使用関係を証する書類」を添えなければならないとしています。
東京都のQ&Aにも、合格したが店舗に従事していない場合について「店舗(薬局、店舗販売業、配置販売業)に従事していない場合、登録できません」と記載されています。
勤務先を証明する書類が要るため、就職先が決まる前に先に登録しておく、という進め方はできません。合格と登録の間に就職活動が挟まる形になります。
合格そのものに期限はありません。東京都のQ&Aは「合格通知書に有効期限はありません。販売従事登録する際に必要になりますので、大切に保管してください」としています。働く予定が先でも、合格が消えるわけではありません。
★他県で受験した人は、書類の省略が効かない
申請書に添える書類は、施行規則第159条の7第2項に4つ挙げられています。
| 号 | 添える書類 |
|---|---|
| 1 | 登録販売者試験に合格したことを証する書類 |
| 2 | 戸籍謄本・戸籍抄本・戸籍記載事項証明書、または本籍の記載のある住民票の写し等 ※ 試験の申請時から氏名または本籍に変更があった人は、戸籍謄本・抄本・記載事項証明書に限る |
| 3 | 精神の機能の障害に関する医師の診断書(該当するおそれがある場合) |
| 4 | 申請者が薬局開設者・医薬品の販売業者でないときは、雇用契約書の写しその他の使用関係を証する書類 |
同項にはただし書があり、「当該申請書の提出先とされている都道府県知事に提出され、又は当該都道府県知事を経由して厚生労働大臣に提出された書類については、当該申請書にその旨が付記されたときは、この限りでない」とされています。
省略できるのは「その申請を受け取る都道府県」に既に出している書類です。東京都で受験して大阪府で登録する場合、大阪府には何も提出していないので、この省略は働きません。同じ県で受験して同じ県で登録する人と比べると、用意する書類が増える可能性があります。
他県受験そのものに不利はありませんが、手続きの手間という形でだけ差が出る部分です。実際に何が必要かは申請先の都道府県が案内しているので、そちらで確認してください。
診断書は全員に必要なものではありません。東京都のQ&Aは「原則、診断書は不要です。販売従事登録申請書に記載の欠格条項(6)欄に該当するおそれのある方のみ、診断書を添付してください」としています。
また、試験合格後に氏名と本籍地都道府県が変わった場合について、同Q&Aは戸籍謄本・戸籍抄本・戸籍記載事項証明書の提出を求め、「住民票の写し及び住民票記載事項証明書では登録できません」と明記しています。
★販売従事登録は一度しかできない
施行規則第159条の7第3項は「二以上の都道府県において販売従事登録を受けようと申請した者は、当該申請を行つた都道府県知事のうちいずれか一の都道府県知事の登録のみを受けることができる」と定めています。
東京都のQ&Aでも、他道府県に勤務することになった場合に登録をし直すのかという質問に対して「販売従事登録は一度しかできません。東京都で登録した販売従事登録証を使用することになります」と回答しています。
複数の都道府県に同時に登録を持つことはできません。登録証も全国で有効です。東京都のQ&Aは「販売従事登録証は全国で有効です」と記載しています。
★転職で別の県に移っても、登録し直さない
ここが実際にいちばん問い合わせの多いところです。登録し直さない理由は、名簿に何が載っているかを見ると分かります。
施行規則第159条の8第1項が定める登録販売者名簿の登録事項は、次のとおりです。
- 登録番号及び登録年月日
- 氏名、生年月日、性別及び本籍地都道府県
- 登録販売者試験合格の年月及び試験施行地都道府県名
- そのほか都道府県知事が必要と認める事項
★勤務先も住所も、登録事項に入っていません。載っているのは本人を特定する情報と、試験に受かった年月・受験地です。勤務先が変わっても名簿の記載は動きません。
「登録は働く県でする」と「転職しても登録し直さない」は、一見矛盾して見えます。ただ、登録先を決めるのは最初に申請する時点の勤務先であって、勤務先そのものが登録内容になっているわけではありません。そう読むと両立します。
★では、何をいつ届け出るのか
| できごと | 手続き | 期限 | 届出先 |
|---|---|---|---|
| 別の県へ転職した | 手続きなし | — | — |
| 氏名・本籍地都道府県などが変わった | 変更の届出(義務) | 30日以内 | 登録を受けた都道府県知事 |
| 登録証の記載を直したい | 書換え交付の申請(任意) | — | 登録を受けた都道府県知事 |
| 登録証を破った・汚した・失くした | 再交付の申請(任意) | — | 登録を受けた都道府県知事 |
| 再交付後に、失くした登録証が出てきた | 返納(義務) | 5日以内 | 登録を受けた都道府県知事 |
| 医薬品の販売に従事しようとしなくなった | 消除の申請(義務) | 30日以内 | 登録を受けた都道府県知事 |
| 登録が消除された | 登録証の返納 | 5日以内 | 消除した都道府県知事 |
※ 施行規則第159条の9・第159条の10・第159条の11・第159条の12・第159条の13より。
★届出先はいずれも「登録を受けた都道府県知事」です。引っ越しても転職しても、やり取りする相手は最初に登録した都道府県のままになります。
変更の届出は「届け出なければならない」、登録証の書換え交付は「申請することができる」と書き分けられています。名簿を直すのは義務、手元の証を直すのは任意という非対称です。氏名が変わったときに、届出だけ出して登録証はそのまま、という状態があり得ます。
消除の申請は「しなければならない」と書かれた義務です。退職して医薬品の販売に従事しなくなったときは30日以内に申請し、登録証を返納することになります。転職で職場が変わるだけの場合とは扱いが違います。
受験地は、名簿に記録として残る
登録事項には「登録販売者試験合格の年月及び試験施行地都道府県名」が入っています。受験した県は、登録先を決める要素ではありませんが、記録としては名簿に残ります。
「他県で受けたことが不利になるのでは」と考える必要はありません。残るのは事実の記録で、働ける範囲を狭める性質のものではないからです。合格が全国で有効であることは、東京都のQ&Aでも明記されています。
ケース別に見る
- 東京で受験 → 大阪の店舗に就職:合格は有効。販売従事登録は大阪府へ申請する
- その後、福岡の店舗へ転職:登録し直さない。大阪府で受けた登録証をそのまま使う
- さらに結婚して氏名が変わった:30日以内に変更の届出。提出先は大阪府(最初に登録した県)で、福岡県ではない
- 隣県に住んでいて、職場だけ県外:登録は職場のある県。住所は関係ない
- 合格したが、まだ働く予定がない:合格通知書に期限はない。勤務先が決まってから登録する
- 配置販売業で働く:店舗ではなく、配置しようとする区域を含む都道府県へ申請する
手数料がかかるのは、登録のとき
登録を受けるのは一度なので、転職のたびに販売従事登録の手数料がかかるわけではありません。金額は登録する都道府県で違い、働き始めるまでの総額に12の実施主体ぶんをまとめています。受験手数料のほうは受験料は実施主体で違うです。
施行規則に書かれていないこと
調べた範囲では、次の点は施行規則に明文がありませんでした(確認日 2026-10-07)。
- いったん消除したあと、再び医薬品の販売に従事することになった場合の取扱い(「再登録」の語は規則内に0件)
- 県をまたいで2つの店舗に同時に勤務する場合、どちらの県で登録するか
- 登録後に勤務先が決まらないまま期間が空いた場合の扱い
これらは都道府県が運用で判断する部分です。該当しそうな場合は、登録を受けた都道府県に確認してください。当サイトでは、法令に書かれていないことを書かれているかのように説明しない方針です。
まとめ
- 試験を受ける場所は住所に縛られない。合格は全国で有効
- 販売従事登録は最初に働く店舗の所在地の都道府県へ申請する。住所地でも受験地でもない
- 申請には雇用契約書の写しなど使用関係を証する書類が要る。勤務先が決まる前には登録できない
- 合格通知書に有効期限はない
- ★販売従事登録は一度だけ。二以上の都道府県に申請しても、受けられる登録は一つ
- ★別の県へ転職しても登録し直さない。最初の登録証を全国で使う
- ★名簿の登録事項に勤務先も住所も入っていない。だから転職は届出の対象外
- 氏名・本籍地都道府県などが変わったときは30日以内に変更の届出(義務)。登録証の書換えは任意
- ★届出先はいつも最初に登録した都道府県
- 医薬品の販売に従事しようとしなくなったときは30日以内に消除を申請し、登録証を返納する
- ★都道府県が実施する試験でも合格が全国で通用するのは、効力を県内に閉じる規定が置かれていないため
- 消除後の再従事・県をまたぐ同時勤務は施行規則に明文がない。登録した都道府県に確認する
合格から働き始めるまでの流れは合格したらすぐ働ける?、そのあとの店舗管理者の条件は店舗管理者になるには何が必要か、実務経験の数え方は実務経験はどう数える?にまとめています。
情報源:e-Gov 法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則」(昭和36年厚生省令第1号)第159条の7〜第159条の13、同「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」第36条の8、東京都保健医療局「登録販売者試験 Q&A」、同「よくあるご質問(申請時)」、大阪府「大阪府に住んでいるが、他府県で勤務している場合…」(確認日 2026-10-07)