登録販売者

登録販売者試験に合格したらすぐ働ける?販売従事登録から店舗管理者まで

登録販売者試験に合格しても、その日から一人で医薬品を売れるわけではありません。働くには販売従事登録という手続きが要り、要件を満たすまでは「研修中の登録販売者」として、薬剤師か一定の経験を持つ登録販売者の管理・指導の下で働きます。ただし必ず2年かかるわけではなく、登録販売者になる前の勤務期間も数えられます。合格から店舗管理者までを、厚生労働省の通知で確認できる範囲で順に整理します。

結論:合格してから3つの段階がある

段階何が必要かできること
① 合格試験に合格するこの時点では医薬品の販売に従事できない
② 販売従事登録働く店舗が決まってから、その都道府県へ申請登録販売者として従事できる。ただし当面は「研修中」
③ 店舗管理者3つの要件のどれか1つを満たす(詳細は別記事)店舗の管理者になれる。研修中ではなくなる

※ 確認日 2026-10-07。根拠は本文中に示します。

編集部の判断

「合格=働ける」と考えていると、②と③で想定が狂います。特に③は、求人で「店舗管理者候補」と書かれている場合に効いてきます。合格直後の人は、制度上まだ要件を満たしていません。

① 合格しただけでは、まだ従事できない

登録販売者試験は都道府県が実施し、合格は全国で有効です。

確認した事実

東京都のQ&Aは、他の道府県で受験してもかまわないとしたうえで、合格した都道府県と勤務する都道府県が違っていても合格は有効だと案内しています。

ただし、合格はあくまで試験の結果です。医薬品の販売に従事するには、別に登録が要ります。

確認した事実

関西広域連合の受験案内は、合格後の販売従事登録は最初の就業地を管轄する都道府県へ申請するものであり、関西広域連合自体は販売従事登録を行わない、と案内しています。

② 販売従事登録は「働く店舗が決まってから」

申請先は、受験した都道府県ではありません。実際に働く店舗の所在地を管轄する都道府県です。

手数料は都道府県で違う

当サイトが12の実施主体を確認した範囲では、販売従事登録の手数料に3,200円の幅がありました。

都道府県販売従事登録の手数料
広島県/福岡県7,100円
東京都7,300円
千葉県7,500円
茨城県8,000円
神奈川県/埼玉県/愛媛県8,700円
宮城県/愛知県10,000円
北海道10,300円

※ 各都道府県の公式ページより(確認日 2026-10-06)。当サイトが確認したのはこの範囲だけです。手数料は都道府県の条例で決まり、改定も一律ではありません。神奈川県は2026年10月1日に7,600円から8,700円へ変わりましたが、同じ日にページを更新した埼玉県・愛知県・福岡県は金額が据え置きでした。申請前に必ず公式でご確認ください。関西広域連合は販売従事登録を行っていません。

編集部の判断

受験する都道府県と働く都道府県は別に選べるので、受験料の安いところで受けて、勤務先の都道府県で登録する、という組み合わせになります。どちらも自分で選ぶものではなく、受験は日程と費用、登録は就職先で決まる、と考えるほうが実際に近いです。

費用の全体像は働き始めるまでの総額に、受験料の違いは受験料は実施主体で違うにまとめています。

③ 要件を満たすまでは「研修中の登録販売者」

登録しても、すぐに一人前の扱いになるわけではありません。ここが見落とされやすい部分です。

確認した事実

現行の通知(医薬発0626第9号・令和8年6月26日)は、研修中の登録販売者を「3の(1)の i〜iii のいずれにも該当しない登録販売者」と定義しています。i〜iii は店舗管理者になる3つの要件です。

店舗販売業者等は、研修中であることが容易に判別できるよう必要な表記をしたうえで、薬剤師または研修中でない登録販売者の管理・指導の下で実務に従事させなければならないとされています。

つまり、次の2つが課されます。

  • 名札などで「研修中」と分かるようにする
  • 薬剤師か、研修中でない登録販売者の管理・指導の下で働く
編集部の判断

実務経験がない状態で合格した人は、通常この状態から始まります。「資格を取れば一人で売り場を任される」という理解でいると、ここでずれます。

ただし全員が2年間この状態になるわけではありません。従事期間には、登録販売者になる前に一般従事者として働いた期間も含まれるためです(次の節)。ドラッグストアで働きながら合格した人は、合格した時点ですでに期間を積んでいることがあります。

また、研修中であっても登録販売者として医薬品の販売に従事できます。働けないわけではありません。管理・指導の下という条件が付くだけです。

店舗管理者になるには、3つのルートがある

研修中を抜けて店舗管理者になる条件は、2023年4月に見直されました。現在は3つのルートがあります。

確認した事実

通知のいう「従事期間」は、薬局・店舗販売業・配置販売業での次の2つを足したものです。一般従事者(その店舗で実務に従事する薬剤師でも登録販売者でもない人)として薬剤師か登録販売者の管理・指導の下で実務に従事した期間と、登録販売者として業務に従事した期間です。

編集部の判断

★登録販売者になる前の期間も含まれます。ドラッグストアでアルバイトや社員として働きながら試験を受けた場合、その期間は従事期間に数えられます。合格した時点で通算2年に達していれば、研修中を経ずに要件を満たすこともあります。

逆に、まったくの未経験から合格して就職した場合は、そこから数え始めることになります。「合格したら必ず2年かかる」ではありません。

ルート従事期間追加の条件
A(従来から)過去5年で通算2年以上なし
B(2023年に追加)過去5年で通算1年以上継続的研修+追加的研修の修了
C(2023年に追加)過去5年で通算1年以上過去に店舗管理者等として業務に従事した経験

※ 厚生労働省 薬生発0331第14号(令和5年3月31日)より。改正省令は令和5年4月1日施行。

確認した事実

同じ通知に、過去5年間のうち従事期間が通算1年以上あり、継続的研修と、店舗・区域の管理と法令遵守についての追加的研修を修了した場合にも店舗管理者等になれる、という要件が加えられたと記載されています。

追加的研修は6時間以上

確認した事実

追加的研修は、ガバナンスや法規・コンプライアンスの基本知識を扱う講義、販売現場や店舗の管理に即したコミュニケーションの演習、それらを踏まえたケーススタディの3つで構成されます。あわせて合計6時間以上とされ、対面・オンラインのどちらでも差し支えないとされています。

なお、通算2年以上のルートAの人は、追加的研修を修了していなくても店舗管理者になれます。通知にも「店舗管理者等となるために追加的研修の修了は必要としない」とあります。ただし「資質向上の観点から受講させることが望ましい」とも書かれています。

★従事期間の数え方が、いちばん間違えやすい

「2年」「1年」が何を指すのかは、通知に具体的な定義があります。ここは誤った数字が出回りやすい部分です。

従事期間には、1か月あたりの時間の条件がある

従事期間は月単位で数えますが、1か月に何時間働けば1か月として認められるかは、どのルートで店舗管理者を目指すかによって違います。

確認した事実

通知は従事期間を月単位で計算するとしたうえで、ルートA(通算2年以上)は1か月80時間以上、ルートB(通算1年以上+研修)は1か月160時間以上従事した月を、必要な実務・業務に従事した月として認めるとしています。

数字の読み方

80時間と160時間は、どちらかが誤りではありません。ルートによって必要な時間が変わります。また、月ごとの時間が届かない場合にも、合計1,920時間の特例があります。

数え方の詳細と計算例は従事期間はどう数える?に、3つのルートの条件は店舗管理者になるには何が必要?にまとめています。

ケース別に見る

パートで週3日、1日5時間働く場合

月に換算すると60時間程度です。ルートA(2年以上)の80時間にも、ルートB(1年以上+研修)の160時間にも届きません。ただし月当たりの時間数によらない1,920時間の特例があるため、月単位の期間と合計時間の両方を満たせば認められる場合があります。

具体的な計算は従事期間はどう数える?で扱います。実際にどう認められるかは勤務先と都道府県の判断になるので、自分の勤務実績については勤務先に確認するのが確実です。

合格したが、まだ働く予定がない場合

販売従事登録は「最初の就業地を管轄する都道府県へ申請」するものです。働く店舗が決まっていない段階では、申請先が決まりません。

確認した事実

東京都のQ&Aは、合格通知書に有効期限はないとし、販売従事登録のときに必要になるので大切に保管するよう案内しています。また、店舗に従事していない場合は登録できないとも記載されています。

合格そのものに期限はないため、働く予定が先でも急いで登録する必要はありません。登録は就業時点の手続きです。

東京で受験して大阪で働く場合

合格は全国で有効なので問題ありません。受験は東京都、販売従事登録は大阪府(関西広域連合ではなく各府県)へ申請することになります。受験料と登録手数料はそれぞれの金額が適用されます。その後さらに別の県へ転職しても登録はし直しません。詳しくは他県で合格して地元で働ける?にまとめています。

毎年の研修が義務になっている

確認した事実

同じ通知に、店舗販売業者等はその店舗等で業務に従事する登録販売者に毎年度研修を受講させなければならないことが、施行規則で明確化されたと記載されています。

これは研修中かどうかに関わらず、業務に従事する登録販売者が対象です。資格を取って終わりではなく、毎年度の研修が前提になっています。受講させる義務は店舗販売業者側にあります。

まとめ

  • 合格しただけでは医薬品の販売に従事できない。販売従事登録が必要
  • 販売従事登録は最初の就業地を管轄する都道府県へ申請する。受験した都道府県ではない
  • 手数料は都道府県で違う。確認した範囲では7,100〜10,300円
  • 登録しても、店舗管理者の3要件のどれにも当てはまらないうちは「研修中の登録販売者」。名札等の表記と、管理・指導の下での従事が必要
  • 店舗管理者になるルートは3つ。必ず2年かかるわけではない(詳細は別記事)
  • 追加的研修は合計6時間以上。対面・オンラインどちらでも可
  • 従事期間には1か月あたりの時間の条件があり、ルートで違う(詳細は別記事)
  • 業務に従事する登録販売者は、毎年度の研修を受講させることが店舗販売業者の遵守事項

受験そのものの条件は受験資格はない、合格基準は7割正解でも落ちることがある、費用の全体像は働き始めるまでの総額にまとめています。

情報源:厚生労働省「登録販売者制度の取扱い等について」(医薬発0626第9号・令和8年6月26日)、厚生労働省「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令の施行等について」(薬生発0331第14号・令和5年3月31日)、同「登録販売者制度の取扱い等について」(薬生発0331第16号・令和5年3月31日)、東京都 令和8年度登録販売者試験Q&A、関西広域連合 令和8年度 登録販売者試験受験案内、各都道府県の販売従事登録のページ(確認日 2026-10-07)

この記事を書いた人

Web制作・サイト運用歴20年

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