店舗管理者になるには何が必要?合格だけでは足りない条件を確認
登録販売者が店舗管理者になる条件は「2年の実務経験」とだけ説明されることが多いのですが、厚生労働省の通知を読むと道は3つあります。しかも期間の数えはじめは登録販売者になった日ではありません。合格する前に一般従事者として働いた期間も数えられます。働きながら合格した人と、未経験から合格した人では、同じ合格でも出発点が違います。
結論:必ず2年かかるわけではない
店舗管理者になれる条件は、2023年4月の省令改正で3つになりました。
| ルート | 過去5年の従事期間 | 追加の条件 |
|---|---|---|
| A | 通算2年以上 | なし |
| B | 通算1年以上 | 継続的研修+追加的研修の修了 |
| C | 通算1年以上 ★過去5年という限定なし | 過去に店舗管理者又は区域管理者として業務に従事した経験 |
※ 厚生労働省 医薬発0626第9号(令和8年6月26日)より(確認日 2026-10-07)。この要件は令和5年4月1日施行の省令改正で3つになりました。
「2年」だけが条件なら話は単純ですが、BとCがあるため、同じ職場で同じ期間働いても到達時期が変わります。そして次に書くとおり、その「期間」の数えはじめも人によって違います。
店舗管理者になる3つのルート
ルートA:過去5年で通算2年以上(従来から)
改正前からある要件です。過去5年間のうち従事期間が通算2年以上あれば店舗管理者等になれる、という形で通知に書かれています。研修の修了は求められません。
改正前からあるルートです。研修の修了は求められません。
ルートB:過去5年で通算1年以上+研修(2023年に追加)
2023年の見直しで加わった要件です。過去5年間のうち従事期間が通算1年以上あり、かつ継続的研修と、店舗・区域の管理と法令遵守についての追加的研修をどちらも修了していれば、店舗管理者等になれるとされています。
★ルートC:通算1年以上+管理者経験(過去5年という限定がない)
現行の通知(医薬発0626第9号・令和8年6月26日)では、iii の要件が「従事期間が通算して1年以上であり、過去に店舗管理者又は区域管理者として業務に従事した経験のある者」と記載されています。
i(ルートA)と ii(ルートB)には「過去5年間のうち」が付いていますが、iii(ルートC)には付いていません。
一度店舗管理者を務めた人が、転職や休職を経て戻る場合を想定したルートだと読めます。期間の範囲に5年の枠がないため、A・Bとは数え方の前提が違います。
★したがって「5年以上前の経験しかないから対象外」と一律には言えません。過去に店舗管理者または区域管理者を務めた経験がある場合は、このルートを別に確認する価値があります。
★「従事期間」は合格前から数えられる
ここが最も誤解されやすい部分です。期間の起点は、登録販売者になった日ではありません。
通知のいう「従事期間」は、薬局・店舗販売業・配置販売業での次の2つを足したものです。
- 一般従事者(その店舗で実務に従事する薬剤師でも登録販売者でもない人)として、薬剤師か登録販売者の管理・指導の下で実務に従事した期間
- 登録販売者として業務に従事した期間(店舗管理者・区域管理者としての業務を含む)
つまり次の2つを足した期間です。
- 登録販売者になる前に、一般従事者として薬剤師か登録販売者の管理・指導の下で実務に従事した期間
- 登録販売者として業務に従事した期間(店舗管理者としての業務を含む)
ドラッグストアで働きながら試験を受けた人は、合格した時点ですでに期間を積んでいます。勤務先が薬局・店舗販売業・配置販売業であり、薬剤師または登録販売者の管理・指導の下で実務に従事していたことが前提です。
「店舗管理者になるには、登録販売者になってから2年」という説明を見かけますが、通知の定義はそうなっていません。合格前の期間が入るかどうかで、到達時期が1年以上変わることがあります。
自分の勤務がこの定義に当てはまるかは、勤務先の業態と、どういう体制で働いていたかによります。当サイトでは個別の判断はできません。実際にどう扱われるかは勤務先か、管轄の都道府県へ確認してください。
未経験で合格した人と、働きながら合格した人の違い
| 合格時点の従事期間 | ルートAまで | |
|---|---|---|
| 未経験から合格して就職 | 0 | 就職してから2年 |
| ドラッグストアで1年働いて合格 | 1年 | 合格後さらに1年 |
| ドラッグストアで2年働いて合格 | 2年 | 合格時点で到達している場合がある |
※ いずれも過去5年の枠内で、薬剤師または登録販売者の管理・指導の下に実務に従事していた場合。月ごとの時間数の条件は別にあります(後述)。
求人に「店舗管理者候補」とある場合、どの状態の人を想定しているかで条件が変わります。未経験から合格した人がすぐ管理者になれるわけではありません。逆に、既に売り場で働いている人が資格を取った場合は、思ったより早く要件に届くことがあります。
ルートBでは2種類の研修が要る
1年ルートで店舗管理者になるには、継続的研修と追加的研修の両方を修了する必要があります。
追加的研修は3つの要素で構成されます。ガバナンスや法規・コンプライアンスの基本知識を扱う講義、販売現場や店舗の管理に即したコミュニケーションの演習、その2つを踏まえて店舗管理者等に求められる対応を考えるケーススタディです。
3つあわせて合計6時間以上行うこととされ、実施方法は対面・オンラインのどちらでも差し支えないとされています。
修了の確認についても定めがあります。研修実施機関は「試験、レポートその他の方法により、研修参加者の追加的研修内容の習得を確認し、修了証等を研修参加者に対し交付する」こととされ、店舗販売業者側も修了証等で確認して記録・保存することとされています。
ルートAで店舗管理者になる場合、追加的研修の修了は求められません。通知にも「過去5年間のうち従事期間が通算して2年以上の登録販売者における店舗管理者等の要件については従前のとおりであり、店舗管理者等となるために追加的研修の修了は必要としない」と記載されています。ただし同じ文に「店舗管理者等の資質向上の観点から受講させることが望ましい」とも書かれています。
1か月あたりの必要時間はルートで違う
従事期間は月単位で数えますが、1か月に何時間働けば1か月として認められるかが、ルートによって違います。
通知は従事期間を月単位で計算するとしたうえで、ルートA(通算2年以上)は1か月80時間以上、ルートB(通算1年以上+研修)は1か月160時間以上従事した月を、必要な実務・業務に従事した月として認めるとしています。
| ルート | 必要な期間 | 1か月あたり |
|---|---|---|
| A(i) | 通算2年以上 | 80時間以上 |
| B(ii) | 通算1年以上+研修 | 160時間以上 |
※ 薬生発0331第16号より(確認日 2026-10-07)。
80時間と160時間は、どちらかが誤りではありません。期間が短いルートBのほうが、1か月あたりに求められる時間は多くなります。短い期間で到達する代わりに密度が要る、という構造です。
1,920時間の取扱い
月の基準に届かない場合の特例があります。多様な勤務状況を踏まえ、月あたりの時間数にかかわらず月単位で従事した期間が過去5年間で通算1年以上または2年以上あり、かつ過去5年間の合計が1,920時間以上であれば、それぞれ通算1年以上・2年以上の登録販売者とみなして差し支えない、とされています。
月ごとの時間が80時間や160時間に届かない月があっても、月単位の期間と合計時間の両方を満たせば認められる、という特例です。ルートA・Bのどちらにもかかります。
現行の通知には、ルートC向けの取扱いが別に置かれています。過去に店舗管理者または区域管理者を務めた経験がある人については、月あたりの時間数にかかわらず月単位で従事した期間が通算1年以上あり、かつ合計1,920時間以上であれば、iii の要件を満たしたものとみなして差し支えないとされています。
具体的な数え方と計算例は従事期間はどう数える?で扱います。
要件を満たすまでは「研修中の登録販売者」
現行の通知(医薬発0626第9号)は、研修中の登録販売者を「3の(1)の i〜iii のいずれにも該当しない登録販売者」と定義しています。店舗販売業者等は、研修中であることが容易に判別できるよう必要な表記をしたうえで、薬剤師または研修中でない登録販売者の管理・指導の下で実務に従事させなければならないとされています。
3つのルートのどれか1つでも満たせば、研修中ではなくなります。「2年未満は研修中」ではなく「どのルートにも当てはまらない人が研修中」という定義です。
研修中であっても登録販売者として医薬品の販売に従事できます。働けないわけではなく、名札等での表示と、管理・指導の下という条件が付きます。
ケース別:自分はどのルートか
- 未経験から合格して、これから働く → ルートAなら2年。ルートBなら1年+研修。勤務時間がフルタイムに近いならBのほうが早い
- ドラッグストアで2年以上働いてから合格した → 合格時点でルートAの期間に達している可能性がある。勤務先に確認する価値がある
- パートで月60時間程度 → 80時間にも160時間にも届かないので、1,920時間の特例を見る
- 以前に店舗管理者だったが、間が空いた → ルートC。1年以上+過去の管理者経験
- 5年以上前の勤務しかない → ルートA・Bは「過去5年間のうち」なので対象外。ただしルートCには過去5年の限定がないので、店舗管理者または区域管理者の経験がある人は別に確認する
店舗管理者の選任は店舗販売業者が行います。通知にも「店舗販売業者及び配置販売業者は適切に管理者を選任する必要がある」とあり、要件を満たせば自動的に管理者になれるわけではありません。あわせて「直近において一定の実務又は業務経験及び外部研修の受講実績があることが望ましい」とも書かれています。
毎年度の研修は全員が対象
店舗管理者かどうかに関わらず、業務に従事する登録販売者には毎年度の研修があります。
店舗販売業者等は、その店舗等で業務に従事する登録販売者に毎年度研修を受講させなければならない、と施行規則で明確化されたと通知に記載されています。
受講させる義務は店舗販売業者側にあります。
まとめ
- 店舗管理者になるルートは3つ。2年以上/1年以上+研修/1年以上+管理者経験
- 「必ず2年」ではない。2023年4月の省令改正で1年のルートが加わった
- ★従事期間は合格前から数えられる。一般従事者として管理・指導の下で実務に従事した期間が含まれる
- 働きながら合格した人と未経験から合格した人では、同じ合格でも出発点が違う
- ルートBの追加的研修は3項目で合計6時間以上。対面・オンラインどちらでも可
- ルートAでは追加的研修の修了は求められない(受講は望ましいとされる)
- 1か月あたりの時間はルートで違う。ルートA 80時間以上/ルートB 160時間以上
- 1,920時間の特例はルートA・Bのどちらにもかかる
- 要件を満たすまでは「研修中の登録販売者」。名札等の表示と管理・指導の下での従事が必要
- 要件を満たせば研修中の扱いからも外れる
- 管理者の選任は店舗販売業者が行う。要件を満たせば自動的になれるわけではない
合格から働き始めるまでの流れは合格したらすぐ働ける?、受験そのものの条件は受験資格はない、費用は働き始めるまでの総額にまとめています。
情報源:厚生労働省「登録販売者制度の取扱い等について」(医薬発0626第9号・令和8年6月26日)、厚生労働省「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令の施行等について」(薬生発0331第14号・令和5年3月31日)、同「登録販売者制度の取扱い等について」(薬生発0331第16号・令和5年3月31日)(確認日 2026-10-07)