第二種電気工事士の技能試験に持ち込める工具は?禁止工具・電動工具・材料の境界
第二種電気工事士の技能試験で、工具の持ち込みに数の制限はありません。受験案内が制限しているのは、持ち込むことではなく試験中に使うことです。そのうえで「必ず持参するもの」が6点決まっていて、そのうち1点だけ規格の条件が付いています。何を使ってよくて何が使えないのか、令和8年度の受験案内で確認します。
結論:制限がかかるのは「使用」のほう
受験案内には「技能試験では、電動工具以外のすべての工具を使用することができます。なお、下記の指定工具は、作業に最低限必要と考えられますので、必ず持参してください。」と記載されています。
| 区分 | 扱い |
|---|---|
| 指定工具6点 | 必ず持参 |
| それ以外の工具 | 電動工具でなく、改造・自作などの禁止条件に当たらなければ使用できる |
| 持ち込む数 | 制限なし(机が狭い点への配慮は求められる) |
| 電動工具 | 使用できない。持参しないよう注意が呼びかけられている |
※ 令和8年度第二種電気工事士上期試験 受験案内より(確認日 2026-10-09)。工具は貸出ではなく自分で用意します。
受験案内の見出しは「使用を禁止しているもの」で、本文も「技能試験では下記のものは使用できません」という書き方です。持ち込み自体を禁じる形にはなっていません。
例外は電動工具で、別ページの注意喚起に「試験当日に持参しないように十分注意をしてください」と書かれています。
「持ち込めるか」と「使えるか」を分けて読むと、案内の構造がそのまま理解できます。迷ったときは、机に出して作業に使うかどうかで考えると判断しやすくなります。
必ず持参する指定工具は6点
| # | 指定工具 |
|---|---|
| ① | ペンチ |
| ② | ドライバー(プラス・マイナス) |
| ③ | 電工ナイフ |
| ④ | スケール |
| ⑤ | ウォーターポンププライヤー |
| ⑥ | リングスリーブ用圧着工具(JIS C 9711:1982・1990・1997 適合品) |
「最低限必要と考えられる」という書き方なので、これだけで足りるという保証ではありません。候補問題の内容に応じて、使いやすい工具を足すのは自由です。⑥だけ規格が書かれている点が、他の5点と違います。
規格の条件が付くのは圧着工具だけ
受験案内によると、リングスリーブの圧着では、JIS C 9711 に適合する圧着マークが刻印されることが求められます。その条件を満たすものとして案内されているのは次のとおりです。
- JISの「屋内配線用電線接続工具・手動片手式工具・リングスリーブ用」(JIS C 9711:1982・1990・1997 適合品)の規格のもの
- 握りの部分の色が黄色のもの
- 〇・小・中・大の刻印が明確に出るもの
これ以外の圧着工具を使い、リングスリーブに圧着マークが刻印されない場合は欠陥の対象になると明記されています。1982年より前のJIS規格の圧着工具も含まれます。
圧着工具は持っている人も多い道具ですが、手持ちの工具がそのまま使えるとは限りません。握りの色と刻印の形を先に確認してください。合否の判定に直結する唯一の工具です。
ここだけ扱いが違う理由は、圧着の良し悪しが作品に刻印として残るからだと読めます。他の工具は作業がしやすいかどうかの問題ですが、圧着工具は結果そのものを左右します。欠陥の判断基準については不器用でも受かるのかで扱っています。
工具以外で使ってよいもの
受験案内が明示的に認めているものがあります。
- 電線を一時的に束ねるクリップ等…使用できる。ただし試験終了までに必ず外す
- 手袋…使用できる
- 工具を入れるための腰ベルト等…使用できる
クリップは「外し忘れたらどうなるか」までは書かれていません。終了の合図の後に外そうとすると作業の継続とみなされる可能性があるので、最後の確認を終了前に組み込んでおくほうが安全です。
使えないものの一覧
受験案内には2か所に分けて書かれています。両方を合わせると次のようになります。
| 使えないもの | 補足 |
|---|---|
| 電動工具 | 充電式を含む。電動ドライバー等 |
| 改造した工具 | 持ち手を延伸したもの、工具に書き込みをしているものなど |
| 自作した工具 | — |
| 回路計(テスター)等の計測機器 | — |
| 配付された「保護板」以外の下敷き・作業用シート類 | — |
| ネジやリングスリーブなどを仮置きするための小箱や皿類 | — |
| 支給された材料以外の材料 | — |
| 工具として一般に販売されていないもの | — |
※ 学科試験では、電卓(電子式卓上計算機)および計算尺も使用できないと案内されています。
見落としやすいのは下の3つです。
- 工具への書き込みが「改造」に入る。長さの目印を油性ペンで書き込む、といった工夫は避けてください
- 小箱や皿類が使えない。部品を仮置きしたくなる場面はありますが、容器の持ち込み使用は認められていません
- 「工具として一般に販売されていないもの」という包括的な条件がある。個別に名前が挙がっていなくても、市販の工具でなければ対象になり得ます
いずれも、練習のときに便利だから本番でも、と考えて持ち込みやすいものです。
一覧にあるものを使うと、失格になる
使えないものの一覧は、守らなかったときの扱いまで決まっています。
受験案内は、技能試験で不正に該当する行為を10項目挙げています。そのひとつが「電動工具など使用を禁止としているものを使用した場合」です。ほかには、監督員の指示に従わない、カンニング、電卓や電子機器の使用、試験室内の撮影、開始の合図前に問題を開く、終了の合図後に作業を続ける、許可なく途中退室する、替え玉受験、試験時間内に問題情報を漏らす、が挙げられています。
ここが効いてきます。「使用を禁止としているもの」とまとめて書かれているので、対象は電動工具だけではありません。小箱や皿類、配付品以外の下敷き、改造した工具なども、使えば同じ枠に入り得ます。
注意されて片づければ済む、という書き方にはなっていません。持って行かない、机に出さないのが確実です。
不正行為で失格になった場合は試験結果通知書が送付されません。悪質な場合は、次回以降の受験を断る場合がある、とも記載されています。
なお、電子機器の例として携帯電話・スマートフォン・スマートウォッチ・スマートグラス・イヤホン・パソコン・電子辞書・ICレコーダ等が挙げられています。工具ではありませんが、身につけたままになりやすいものです。
電動工具は「電源を切れば使える」ではない
受験案内は、電動工具を使えない理由を「電気工事に係る基本的な作業の修得を試験すること」から、と説明しています。そのうえで次の点を明記しています。
- 近年販売されている充電式の電動機能付工具も「電動工具」として扱われ、使用できない
- 試験を厳正かつ公正に実施する観点から、電動機能をOFFにして利用する場合でも使用できない
- 試験中に電動工具を使用している場合や、監督員の指示に従わない場合は不正行為となり失格
「電動機能を切れば手動工具と同じ」という理屈は通りません。工具が電動機能を持っているかどうかで判断されます。失格の対象なので、判断に迷う工具は持って行かないほうが確実です。受験案内も、使用禁止にとどめず「持参しないように」と書いています。
カッターナイフは禁止ではなく「自粛」
カッターナイフについては、使えないものの一覧には入っていません。受験案内には、怪我をする人がいるため使用は自粛してほしいという趣旨の呼びかけが書かれています。
禁止と自粛は別です。カッターナイフは使用禁止品として列挙されていませんが、安全上の理由から使用の自粛が求められている、という位置づけになります。被覆をはぐ作業は電工ナイフか専用工具で行うのが前提の案内です。
工具を机に出すのは着席のとき
受験案内が示す当日の流れでは、着席したらまず受験票と工具を机上に置き、次に携帯電話やスマートウォッチなどの通信機器の電源を切ってカバンにしまう、という順になっています。この段階の期限は10時50分です。
そのあと監督員の説明があり、指示に従って支給材料を試験問題用紙の材料表と照合します。監督員の指示があるまで照合はしないとされています。
工具を出すのと通信機器をしまうのが、同じ手順の中に並んでいます。机に出すのは工具と受験票ですが、机上に置けるものはこれだけではありません。筆記用具や時計など、ほかの持ち物についても受験案内に条件が示されています。腰ベルトを使う場合も、この段階で形を決めておくと落ち着きます。
材料の照合は開始前の決まった時間に行います。不一致・不良・破損・不足があればその場で申し出る必要があり、試験開始後に申し出ても材料の交換には応じられないと明記されています。
工具のほかに使えるもの・持参するもの
受験案内は、技能試験で使用できるものとして次を挙げています。
- 時計…電卓機能があるもの、スマートウォッチ等の通信機器を持つもの、アラーム音が出るものは使用できない。スマートフォンや携帯電話を時計として使うこともできない
- ストップウォッチ…音が出ないもの
- 眼鏡・ルーペ
持参するものとしては筆記用具が挙げられ、内訳は受験番号・氏名の記入に必要なHBの鉛筆またはHBの芯を用いたシャープペンシル、プラスチック消しゴム、鉛筆削り、定規、色鉛筆/色ボールペン/蛍光ペン/マジックです。
複線図を描く場合は問題用紙の余白を使い、技能試験では当日配布する保護板も利用できるとされています。
時計の条件が細かく書かれています。電卓機能付き、通信機能付き、アラーム音が出るものはいずれも対象外なので、普段使っている腕時計がそのまま使えるとは限りません。
保護板は、使えない下敷きの代わりという位置づけだけでなく、複線図を描く面としても使えると案内されています。配付品以外の下敷きが禁止されているのは、この役割も兼ねているためだと読めます。
なお、水の入ったペットボトルの持ち込みについては学科試験(CBT方式)の項にだけ条件が書かれていて、技能試験の項には記載がありません。
技能試験は入室禁止時刻(令和8年度上期は10時55分)までに入室していないと受験できません。受験票を持っていない場合、受験票に記載された会場以外で受けた場合も同じです。指定された席以外で受けた場合は欠席扱いになります。
工具以外で失格になること
- 試験中の工具の貸借はできない
- 作業は椅子に座って行う。立ち続けた場合は失格(力を入れる場面などで一時的に立つのは問題ない)
- 終了の合図の後も作業を継続している場合は失格
貸借ができないので、工具は1人分を自分でそろえる前提になります。壊れたときの替えをどこまで持つかは、持ち込みの数に制限がない以上、自分で決められる部分です。
「立ち続けると失格」は工具の話ではありませんが、作業台の高さに慣れていないと起こり得ます。練習のときから座って作業しておくほうが安全です。
終わったあとの工具
- 作業で出たゴミ等は、そのまま片づけなくても問題ないとされています
- 一方で、机上に置いた工具や私物、試験問題等の忘れ物がないか確認するよう案内されています
- 退出は作品の保全のため監督員の指示に従う形で、自由に退出はできません。上着などの手荷物が作品に当たらないよう注意が求められます
- 試験会場での忘れ物は、全会場分を試験日から1か月間保管されます。期間を過ぎると処分扱いです
ゴミは残してよいのに、工具は自分で回収する、という分かれ方です。終了直後は緊張がほどけるうえ、退出の順番も指示されるため、工具を置いたまま出てしまう人がいるのだと読めます。
予備を多めに持ち込んだ場合ほど、数が合っているかの確認は必要になります。忘れても1か月は保管されますが、問い合わせは自分でする前提です。
受験者の過失で試験会場の機器や設備に損害や汚損を与えた場合は、受験者負担の弁償になるとされています。工具を落とす、机を傷つけるといった場面が想定されます。
ケース別に見る
- 手持ちの圧着工具を使いたい → 握りが黄色で、〇・小・中・大の刻印が明確に出るか確認する。古い規格のものは欠陥の対象になり得る
- 充電式のドライバーを持っている → 電動機能付工具なので使えない。電源を切っても同じ。持参しない
- 工具に長さの目印を書いておきたい → 書き込みは改造扱い。スケールで測る
- 部品を小皿にまとめたい → 小箱・皿類は使えない
- 自分の下敷きを敷きたい → 配付される保護板以外は使えない
- 予備の工具を多めに持ちたい → 数に制限はない。ただし机が狭いので、机上に出す量は配慮が求められる
- 軍手をして作業したい → 手袋は使用できる
- テスターで確認したい → 計測機器は使えない
ここで整理したのは令和8年度上期試験の受験案内の内容です。年度や試験回によって案内が変わることがあるので、受験する回の受験案内で必ず確認してください。工具にかかる費用は通信講座は結局どこが安いか、練習材料が講座に含まれるかどうかなどの条件は3社の条件比較で扱っています。
まとめ
- 受験案内が制限しているのは持ち込みではなく使用。持参する数に制限はない
- 指定工具6点は必ず持参。それ以外は電動工具でなければ使用できる
- 規格の条件が付くのは圧着工具だけ。握りが黄色で、〇・小・中・大の刻印が明確に出るもの。合わないと欠陥の対象
- クリップ・手袋・腰ベルトは使える。クリップは試験終了までに外す
- 使えないのは、電動工具(充電式を含む)/改造した工具(書き込みも含む)/自作した工具/計測機器/配付品以外の下敷き・シート/小箱や皿類/支給材料以外の材料/一般に販売されていない工具
- 電動機能をOFFにしても使えない。使用すれば不正行為で失格。持参しないよう呼びかけられている
- カッターナイフは禁止ではなく自粛の呼びかけ
- 工具の貸借は不可。立ち続けた場合、合図後も作業を続けた場合は失格
- 使用を禁止しているものを使えば不正行為で失格。対象は電動工具だけではない
- 工具を机に出すのは着席のとき。通信機器は電源を切ってカバンへ(令和8年度上期は10時50分まで)
- 工具のほかに、時計・ストップウォッチ・眼鏡やルーペが使える。時計は電卓機能・通信機能・アラーム音が出るものを除く。筆記用具はHBの鉛筆かHBの芯のシャープペンシルほかを持参する
技能試験そのものの考え方は不器用でも受かるのか、落ちた場合の次の受験は学科免除はいつまで使えるか、合格後の免状申請は免状申請はどうする?にまとめています。
情報源:一般財団法人電気技術者試験センター「令和8年度第二種電気工事士上期試験 受験案内」(確認日 2026-10-09)