登録販売者

研修中の登録販売者は一人で販売できる?名札・管理指導・店舗管理者代行の条件

研修中の登録販売者でも、医薬品を販売できます。ただし名札に研修中であることを表示し、薬剤師か研修中でない登録販売者の管理・指導の下で従事する、という条件が付きます。この「管理・指導の下」の意味は、店舗と配置販売で通知の書き方が違います。さらに、研修中は店舗管理者の代行者にもなれません。現行の通知で確認します。

結論:販売はできる。付く条件は3つ

できることは、登録販売者として第2類・第3類医薬品の販売に従事することです。これに次の3つの条件が付きます。

付く条件内容
①名札に研修中であることが判別できる表記をする
②薬剤師または研修中でない登録販売者の管理・指導の下で従事する
③その期間中も毎年度の研修を受講する
できないこと根拠
店舗管理者の代行者になる通知が明記
区域管理者の代行者になる(配置販売業)通知が明記

※ 厚生労働省 医薬発0626第9号(令和8年6月26日・令和8年10月1日から適用)より(確認日 2026-10-10)。誰が研修中に当たるかは店舗管理者になるには何が必要かで扱っています。

編集部の判断

「研修中だから売れない」ではありません。売れますが、一人で任される立場にはならないという形で制限がかかります。以下、条件ごとに見ます。

義務を決めているのは施行規則、中身を示しているのは通知

この記事で扱う条件は、2つの層に分かれています。

層内容
施行規則名札に研修中である旨の表記をすること、管理・指導の下で従事させること、という義務そのもの
通知名札の表記の例、配置販売での「管理及び指導の下」の意味、代行者になれないという取扱い
確認した事実

薬機法施行規則は、薬局について第15条、店舗販売業について第147条の2、配置販売業について第149条の6で、それぞれ同じ構成の規定を置いています。第2項が名札の表記、第3項が管理・指導の下での従事です。

「研修中の登録販売者」は通知だけの言い方ではなく、施行規則第15条第2項が定義する法令上の用語です。定義は「第140条第1項第2号又は第149条の2第1項第2号に規定する登録販売者以外の登録販売者」とされています。

第140条第1項第2号は店舗管理者になれる登録販売者、第149条の2第1項第2号は区域管理者になれる登録販売者を指します。つまりその要件を満たしていない登録販売者が、研修中の登録販売者です。

編集部の判断

定義が「要件を満たす人以外」という引き算の形になっています。通知が「3の(1)の i〜iii のいずれにも該当しない登録販売者」と書いているのと同じ構造です。

この二層を分けておくと、どこまでが守らなければならない決まりで、どこからが示された例なのかが見分けられます。名札にシールを貼る方法は「考えられる」例であって、その方法でなければならないわけではありません。

名札には何を書くのか

確認した事実

薬局・店舗販売業・配置販売業のいずれも、薬剤師・登録販売者・一般従事者であることが容易に判別できるよう、従事者に名札を付けさせるなどの措置をとることとされています。

登録販売者の名札は、単に「登録販売者」と記載するほか、「医薬品登録販売者」と記載しても差し支えないとされています。

研修中の登録販売者については、その旨が容易に判別できるよう必要な表記をしなければなりません。通知が例として挙げているのは、「登録販売者(研修中)」といった表記や、研修中である旨を名札にシール等で表記する方法です。

編集部の判断

表記の仕方まで決め打ちされているわけではなく、例が示されている形です。シールでもよいと書かれているので、名札を作り直さずに対応することも想定されています。

研修中でない人にも、別の義務がある

確認した事実

研修中でない登録販売者は、名札に研修中である旨を表記する必要はありません。ただし、その従事期間等を証明する書類を保管しておくこととされています。保管場所は、薬局なら勤務する薬局、店舗販売業なら原則として勤務する店舗です。

この一文は、名札について薬局開設者・店舗販売業者に義務を課した項の中に、「なお」で続けて置かれています。誰が保管するのかは、通知の文面からは一意に読み取れません。

編集部の判断

研修中かどうかは名札の見た目で分かりますが、その裏付けは書類で勤務先に置いておく、という作りです。「研修中ではない」と言うためには、従事期間を示せる必要があります。

保管の主体が明示されていないので、自分の書類がどう扱われているかは勤務先に確認してください。少なくとも置く場所は勤務先とされています。従事期間の数え方は実務経験はどう数える?にまとめています。

掲示とウェブサイトにも、研修中かどうかが出る

確認した事実

薬局・店舗に掲示すべき事項として、勤務する薬剤師、または研修中の登録販売者かそれ以外の登録販売者かの別、その氏名および担当業務が挙げられています。

特定販売を行う場合、ホームページ等に表示すべき事項には、現在勤務している薬剤師、または研修中の登録販売者かそれ以外かの別とその氏名が含まれます。

編集部の判断

名札だけの話ではありません。店頭の掲示にも、ネット販売をしている店ならサイトにも、研修中かどうかが出ます。本人が意識していなくても、外から分かる形で区別される仕組みです。

「管理及び指導の下」の意味は、店舗と配置販売で違う

ここが通知を読んで分かる、いちばん大きな違いです。

業態通知の書き方
薬局その薬局において勤務中の薬剤師または登録販売者(研修中を除く)の管理・指導の下
店舗販売業その店舗において勤務中の薬剤師または登録販売者(研修中を除く)の管理・指導の下
配置販売業薬剤師または登録販売者(研修中を除く)の管理・指導の下
※ その意味が別に定義されている(下記)
確認した事実

配置販売業については、「管理及び指導の下に業務に従事する」の意味が具体的に示されています。研修中の登録販売者が次の状態で配置販売に従事することを指すとされています。

  • 管理・指導者である薬剤師または登録販売者(研修中を除く)に常に電話で連絡を取ることができる
  • 必要に応じて、その管理・指導者がその場に駆けつけられる体制である
  • 新規に配置販売を行った際には、その管理・指導者に電話等で報告する
編集部の判断

通知が具体的な定義を置いているのは配置販売業だけです。薬局と店舗販売業については「その薬局/その店舗において勤務中の」という書き方で、距離や同席についての記述はありません。

そこから言えるのは、店舗では管理・指導者がその店舗に勤務中であることが前提になっているということです。常に隣にいなければならない、とまでは書かれていませんが、その店舗に誰もいない状態は想定されていません。

一方、配置販売は現場が分かれるので、電話でつながり、必要なら駆けつけられるという形に置き換えられています。離れていてもよいかわりに、連絡と報告が条件になっています。

注意

店舗で管理・指導者が一時的に席を外す場合がどう扱われるかは、通知に書かれていません。個別の勤務体制については、通知にない運用を推測せず、店舗販売業者や所管の都道府県に確認してください。

店舗管理者・区域管理者の代行者にはなれない

確認した事実

通知は、研修中の登録販売者を管理・指導の下で業務に従事させなければならないとしたうえで、「このため、研修中の登録販売者は、店舗管理者の代行者にもなることができない」としています。配置販売業についても同じく、区域管理者の代行者になることができないと書かれています。

編集部の判断

理由が「このため」で繋がっています。管理・指導を受ける側の人が、管理する側の代わりを務めることはできないという論理です。

なお「代行者」という語は、薬機法施行規則の条文には出てきません(全文検索で0件・確認日 2026-10-10)。通知が示している取扱いです。

店舗管理者そのものになる条件は店舗管理者になるには何が必要かで扱っています。研修中は、そもそも管理者の要件を満たしていない状態なので、代行もできないという整理になります。

研修中の期間も、毎年度の研修は受ける

確認した事実

通知は、薬局開設者・店舗販売業者・配置販売業者それぞれについて、この期間中にも研修中の登録販売者に研修を受講させなければならないとしています。「当然ながら」という書き方です。

編集部の判断

店舗管理者になるための追加的研修とは別の話です。こちらは業務に従事する登録販売者全員が毎年度受ける研修で、研修中かどうかに関係なく対象になります。

受講させる義務は事業者側にあります。研修中の人が自分で探して受けるものではなく、勤務先が受講させる建て付けです。

確認した事実

研修の受講については、勤務先の薬局開設者・店舗販売業者・配置販売業者が責任を持って確認することとされ、その際は客観的な事実に基づいて判断するとされています。

店舗管理者・区域管理者としない場合は、許可の申請や変更の届出に研修受講の証明書類を添付する必要はありませんが、都道府県等から問い合わせがあった際には、受講実績を客観的に説明できるようにしておくこととされています。

研修中でなくなると、何が変わるか

研修中研修中でない
医薬品の販売できるできる
名札の研修中表記必要不要
管理・指導の下での従事必要不要
店舗管理者・区域管理者の代行できない—
毎年度の研修必要必要
従事期間を証明する書類を勤務先に保管—必要(保管の主体は通知に明示なし)
編集部の判断

研修中から外れると表示と管理の条件は消えますが、代わりに従事期間を証明する書類を店舗に置くという義務が出てきます。何もなくなるわけではありません。

研修中かどうかは、店舗管理者になる3つの要件のどれかを満たすかで決まります。「2年経ったら自動的に」ではありません。

ケース別に見る

編集部の判断
  • 研修中だが、レジで第2類医薬品を売ってよいか → 売れる。名札の表記と管理・指導の下という条件が付く
  • 店舗に薬剤師も先輩の登録販売者もいない時間帯がある → 通知は「その店舗において勤務中の」管理・指導者を前提にしている。勤務体制は店舗販売業者が判断する部分なので、勤務先に確認する
  • 店舗管理者が休みのとき、代わりを頼まれた → 研修中は代行者になれないと通知に明記されている
  • 配置販売で一人で回っている → 管理・指導者に常に電話で連絡でき、必要なら駆けつけられる体制が求められる。新規に配置した際は電話等で報告する
  • 名札を作り直すのが大変 → シール等での表記も例として挙げられている
  • 研修中ではないのに研修中と書かれている → 表記は不要。ただし従事期間を証明する書類の保管が求められる
  • 毎年度の研修は研修中でも要るのか → 要る。事業者が受講させる義務

まとめ

  • 研修中でも医薬品の販売に従事できる。働けないわけではない
  • 名札に研修中であることが判別できる表記が要る。例として「登録販売者(研修中)」やシール等が挙げられている
  • 店頭の掲示にも、特定販売ならサイトにも、研修中かそれ以外かの別が出る
  • 「管理及び指導の下」の意味は業態で書き方が違う。薬局・店舗は「その薬局/店舗において勤務中の」、配置販売は電話で連絡が取れ、駆けつけられる体制+新規配置時の報告
  • 具体的な定義が置かれているのは配置販売業だけ。店舗で一時的に席を外す場合の扱いは通知に記載がない
  • 店舗管理者・区域管理者の代行者にはなれない。管理・指導を受ける立場だから、という理由で繋がっている
  • 研修中の期間も毎年度の研修は受ける。受講させる義務は事業者側
  • 名札と管理・指導の義務そのものは施行規則(第15条・第147条の2・第149条の6)が定め、表記の例や代行者の扱いは通知が示している
  • 「研修中の登録販売者」は施行規則が定義する法令上の用語。店舗管理者・区域管理者になれる要件を満たしていない登録販売者を指す
  • 研修中でなくなると表記と管理の条件は消えるが、従事期間を証明する書類を勤務先に保管することになる(保管の主体は通知に明示なし)

誰が研修中に当たるかは店舗管理者になるには何が必要か、従事期間の数え方は実務経験はどう数える?、合格から働き始めるまでの流れは合格したらすぐ働ける?にまとめています。

情報源:厚生労働省「登録販売者制度の取扱い等について」(医薬発0626第9号・令和8年6月26日。令和8年10月1日から適用。令和5年3月31日付 薬生発0331第16号の改正後全文)、e-Gov 法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則」(確認日 2026-10-10)

この記事を書いた人

Web制作・サイト運用歴20年

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