消防設備士

消防設備士の講習は何年ごと?仕事をしていなくても必要?

消防設備士の講習は、最初は2年以内、その後は5年ごとです。ただし起算日が免状をもらった日ではなく、その日以後における最初の4月1日なので、交付の時期によって最初の期限は約2年から約2年11か月までずれます。そして消防設備の仕事をしていなくても受けなければなりません。受けなかったときにどうなるかも、条文をたどって整理します。

結論:2年 → 以後5年ごと。ただし講習区分ごと

確認した事実

消防法施行規則第33条の17第1項は、消防設備士は免状の交付を受けた日以後における最初の四月一日から二年以内に法第17条の10に規定する講習を受けなければならない、としています。続く第2項がこうです。

公式の記載

消防法施行規則第33条の17第2項より。

「前項の消防設備士は、同項の講習を受けた日以後における最初の四月一日から五年以内に講習を受けなければならない。当該講習を受けた日以降においても同様とする。」

確認した事実

根拠は消防法第17条の10です。消防設備士は、総務省令で定めるところにより、都道府県知事(総務大臣が指定する市町村長その他の機関を含む)が行う工事整備対象設備等の工事又は整備に関する講習を受けなければならない、としています。

東京消防庁の講習案内は、この受講期限の見出しを「受講期限(講習区分ごと)」としています。免状1枚ごとでも、人ごとでもなく、講習区分ごとに期限が動きます。

起算日が「最初の4月1日」なので、期限は人によってずれる

免状の交付日起算日(以後最初の4月1日)初回の期限交付から
2026年4月1日2026年4月1日2028年3月31日約2年0か月
2026年5月1日2027年4月1日2029年3月31日約2年11か月
2026年10月1日2027年4月1日2029年3月31日約2年5か月
2027年3月31日2027年4月1日2029年3月31日約2年0か月

※ 施行規則第33条の17第1項の書き方どおりに当サイトが計算したものです(確認日 2026-10-17)。実際の期限は、受講する都道府県の案内で確認してください。

編集部の判断

4月2日に交付を受けた人と、3月31日に交付を受けた人では、起算日が1年ずれます。4月1日の直後にもらった人がいちばん長く、約2年11か月の猶予があります。

2026年5月1日交付の例で言うと、「交付から2年」と考えて2028年5月1日を目安にしていると、本当の期限より334日も早い日付を見ていることになります。逆に言えば、焦って早く受ける必要もありません。

2回目以降も同じ考え方です。2029年11月1日に受講した人の次の期限は2035年3月31日で、受講から約5年5か月あります。

仕事をしていなくても受けなければならない

公式の記載

東京消防庁「消防設備士講習受講申請書」の対象者より。

「消防設備士は、都道府県知事が行う消防用設備等の工事又は整備に関する講習を定期的に受けなければならないとされており、現在消防用設備等の点検、工事などの業務に従事しているか否かにかかわらず、定期的に講習を受講する必要があります。」

確認した事実

同じ内容の案内は、当サイトが見た範囲では福島市消防本部と新潟市消防局のページにも出ています。福島市は見出しを「消防設備士免状を所有されているすべての方へ」としています。

法第17条の10の条文も、主語が「消防設備士は」であって、業務に従事している消防設備士に限っていません。

編集部の判断

ここが他の資格と違うところです。家畜人工授精師や潜水士には、免許を取ったあとの定期講習がありません。消防設備士は、免状を持っているだけで義務が続きます。

転職して設備の仕事から離れた人、資格だけ取って使っていない人も対象です。

講習区分は4つ。複数の免状を持つとどうなるか

確認した事実

講習の区分は、消防庁告示(平成16年消防庁告示第25号。令和6年1月26日告示第3号まで改正)が4つに定めています。

講習区分対象になる免状
特殊消防用設備等特類の甲種
消火設備第1類・第2類・第3類の甲種および乙種
警報設備第4類の甲種および乙種、第7類の乙種
避難設備・消火器第5類の甲種および乙種、第6類の乙種

※ 平成16年消防庁告示第25号「第一 講習区分」より(確認日 2026-10-17)。

確認した事実

東京消防庁の講習案内は、講習区分が同一である免状の交付を受けた場合は、最初の免状交付が基準になるとしています。例として挙げられているのは、講習区分「消火設備」に該当する免状を複数取得した場合です。

区分をまたぐ場合には、科目の一部免除があります。告示は、第一の講習区分のうち一の講習を受けた後六月以内に他の講習を受けようとする者について、「工事整備対象設備等関係法令及び防火に関する他法令等に関する事項」を免除することができる、としています。

編集部の判断

整理するとこうなります。

  • 甲種第1類を取ったあとに甲種第2類を取っても、どちらも「消火設備」なので期限は増えません。基準は最初の交付です
  • 甲種第4類と甲種第5類を持っていると、「警報設備」と「避難設備・消火器」の2区分ぶん受けることになります
  • その2つを6か月以内にまとめて受ければ、2回目のほうは法令の科目が免除されます

東京消防庁の場合、一部免除を申請した人の対面講習は午後1時から午後5時までで、通常の午前9時から午後5時までより4時間短くなります。

注意

東京消防庁のオンライン講習では「講習科目の一部免除はできません」とされています。また、効果測定の一部免除はありません。一部免除を使いたい場合は対面講習を選ぶことになります。

これは東京消防庁の案内です。ほかの都道府県の扱いは、その都道府県の案内で確認してください。

受けなかったらどうなるか

確認した事実

消防法に免状が失効するという規定は見当たりませんでした。条文は次のようにつながっています。

  • 法第17条の7第2項が、第13条の2第4項から第7項までを消防設備士免状について準用する
  • 準用される第13条の2第5項は、この法律またはこの法律に基づく命令の規定に違反しているときは、免状を交付した都道府県知事が免状の返納を命ずることができると定めている
  • 法第44条第9号は、その返納命令に違反した者を30万円以下の罰金または拘留としている
  • 準用される第13条の2第4項第1号は、返納を命ぜられた日から起算して1年を経過しない者には免状の交付を行わないことができる、としている
編集部の判断

期限を過ぎたからといって、自動的に免状が無くなるわけではありません。返納を命ずることが「できる」という組み立てです。罰則がかかるのは、返納命令そのものに違反したときです。

とはいえ違反状態であることに変わりはなく、各自治体の案内も「受講されていない方は、速やかに受講してください」としています。期限を過ぎていても受講できるので、気づいた時点で申し込むことになります。

講習の中身と費用

確認した事実

告示が定める講習科目は2つです。

  • 工事整備対象設備等関係法令及び防火に関する他法令等に関する事項 ―― 2時間30分以上
  • 工事整備対象設備等の工事又は整備等に関する事項 ―― 4時間以上

内容には、おおむね過去5年間における技術上の基準の改正要点、建築基準法令や危険物関係法令の改正要点、消防設備士の責務、特異な火災事故例などが含まれます。講習修了後には30分間程度の効果測定が行われます。

手数料は法第17条の11が「実費を勘案して政令で定める額」としています。東京消防庁の令和8年度の案内では、オンライン講習・対面講習とも7,000円(非課税)です。

編集部の判断

丸1日です。東京消防庁の対面講習は午前9時から午後5時まで。遅刻すると原則受講できず、早退は講習修了と認められません。

オンライン講習なら視聴期間が約3週間あり、期間内に何度でも視聴できるとされています。ただし一部免除が使えないので、2区分を続けて受ける人は対面のほうが短く済むことになります。

まとめ

  • 初回は免状交付日以後の最初の4月1日から2年以内。以後は受講日以後の最初の4月1日から5年以内
  • 起算日の取り方のせいで、初回の猶予は交付の時期により約2年〜約2年11か月に分かれる。「交付から2年」で覚えると日付を間違える
  • 消防設備の業務に従事していなくても受講が必要。条文の主語も「消防設備士は」で限定がない
  • 期限は講習区分ごと。区分は特殊消防用設備等/消火設備/警報設備/避難設備・消火器の4つ
  • 同じ区分の免状を複数持っても期限は増えない。最初の免状交付が基準(東京消防庁の案内)
  • 区分をまたぐ場合、6か月以内に次を受ければ法令の科目が免除できる。ただし東京消防庁のオンライン講習では一部免除は使えない
  • 講習は法令2時間30分以上+工事整備等4時間以上、30分程度の効果測定つき。東京消防庁は7,000円(非課税)
  • 受けなくても自動的に失効はしない。返納を命ずることが「できる」規定で、罰則は返納命令に違反したとき(30万円以下の罰金または拘留)

情報源:e-Gov法令検索「消防法施行規則」第33条の17、同「消防法」第13条の2・第17条の7・第17条の10・第17条の11・第44条、総務省消防庁「工事整備対象設備等の工事又は整備に関する講習の実施に関し必要な細目」(平成16年消防庁告示第25号)、東京消防庁「消防設備士講習案内」令和8年度(PDF)、同「消防設備士講習受講申請書」、福島市「消防設備士の定期的な講習受講について」、新潟市「消防設備士免状を所有されている方へ」(確認日 2026-10-17)

この記事を書いた人

Web制作・サイト運用歴20年

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