消防設備士

消防設備士の甲種受験資格は?15単位・8単位と学歴による違い

まず押さえておきたいのは、乙種には受験資格がないことです。受験資格があるのは甲種だけで、その道は国家資格等によるもの18通りと、学歴によるもの13通りに分かれています。「甲種は15単位必要」と覚えている人がいますが、それは学歴ルートの一部の話です。8単位で足りる人もいれば、単位をまったく数えなくてよい人もいます。

結論:甲種だけに受験資格がある

公式の記載

一般財団法人消防試験研究センター「受験資格」より。

乙種 「誰でも受験できます。」

種類受験資格根拠
乙種なし(誰でも受験できる)法第17条の8第4項は甲種についてのみ定めている
甲種(特類以外)国家資格等18通り/学歴13通りのいずれか法第17条の8第4項・施行規則第33条の8第1項
甲種特類甲種の第1類〜第3類のいずれか1つ、第4類及び第5類の3種類以上の免状施行規則第33条の8第2項

※ 消防法・同施行規則と、消防試験研究センターの受験資格ページより。18通り・13通りは同ページの表の行数を当サイトが数えたもの(確認日 2026-10-15)。

編集部の判断

乙種に受験資格がないことは、見落とされがちですが大きな違いです。甲種が難しそうだと感じたら、乙種から受けるという道がそもそも開いています。

「甲種は15単位」とは限らない

確認した事実

学歴による受験資格は、消防試験研究センターの表で13の項目に分かれています。大きく卒業で見るものと修得した単位で見るものの2通りがあり、どちらも並んだ受験資格です。

卒業で見るほうは、大学・短期大学・高等専門学校(5年制)などで、機械、電気、工業化学、土木又は建築に関する学科又は課程を修めて卒業した方です。これに当てはまれば、単位を数える必要はありません。

単位で見るほうは、大学・専門職大学・短期大学・専門職短期大学・大学院・専門職大学院・高等専門学校(5年制)・専修学校などの「15単位修得者」として、表に独立した項目で並んでいます。学科名が該当する人は使えない、という書き方ではありません。

そのうえで、高等学校・中等教育学校と旧制の大学・専門学校の2項目には、ただし書が付いています。指定されている学科名の中に該当するものがない場合は、該当する授業科目を一定単位以上修めて卒業したことを単位修得証明書で確認を受ける、という形です。

編集部の判断

整理するとこうなります。指定された学科・課程を修めて卒業した人には、卒業で見るルートがあります。それに当てはまらない人でも、所定の分野の授業科目を必要な単位数以上修得していれば、単位で見るルートを使えます。

どちらか一方しか道がない、という作りではありません。

公式の記載

消防試験研究センター「よくある質問」Q2より。

「甲種消防設備士試験の受験資格としては、機械、電気、工業化学、土木又は建築に関する学科又は課程を修めて卒業していると認められる必要があります。当該学科又は課程を修めて卒業したと認められない場合は、機械、電気、工業化学、土木又は建築に関する授業科目を履修して一定単位(大学、短期大学、5年制高等専門学校又は専門学校の場合は15単位、高等学校、又は中等教育学校の場合は8単位)以上修得している必要があります。」

出た学校学科・課程で該当する場合学科・課程で該当しない場合に必要な単位
大学・短期大学・5年制高専・専門学校単位を数えなくてよい15単位以上
高等学校・中等教育学校単位を数えなくてよい8単位以上
旧制の大学・専門学校単位を数えなくてよい15単位以上

※ 消防試験研究センターのFAQ Q2と「甲種について」のページより(確認日 2026-10-15)。学科名が該当するかどうかの判断は、受験する都道府県の支部が行います。なお「15単位修得者」は同ページの表に独立した受験資格の項目として並んでいます。右の列は、学科・課程では該当しない人がこの道を使う場合の目安として読んでください。

編集部の判断

15単位と8単位は、どちらが正しいという話ではありません。出た学校の種類で分かれています。そして、どちらも学科名が該当しなかった人のための道です。

「甲種は15単位必要」「高校なら8単位必要」と覚えると、順番を取り違えます。先に見るのは卒業した学科・課程の名前です。

法令に書かれているのは15単位だけ

確認した事実

消防法第17条の8第4項は、甲種を受けられる者を3つ挙げています。学科・課程を修めて卒業した者、乙種免状の交付を受けた後2年以上の整備経験がある者、そして総務省令で定める者です。

その総務省令が施行規則第33条の8第1項で、8つの号を置いています。このうち単位に触れているのは第2号と第3号で、どちらも「十五単位以上」です。

当サイトが消防法・消防法施行令・消防法施行規則の本則を全数検索したところ、「八単位」は0件でした。消防法の本則には「単位」という語自体が出てきません。

注意

8単位は、施行規則第33条の8第1項第8号の「前各号に掲げる者に準ずるものとして消防庁長官が定める者」に当たると見られますが、当サイトはその告示の原本をまだ確認できていません。ここは断定せず、消防試験研究センターが案内している数字として扱っています。

単位の数え方

確認した事実

大学・専門職大学・短期大学・専門職短期大学・大学院・専門職大学院・高等専門学校(5年制)・専修学校は、各設置基準による単位で15単位以上です。

各種学校は時間で換算します。講義は15時間、実習は30時間、実験・実習・実技は45時間の授業をもって、それぞれ1単位です。大学・短期大学・高等専門学校(5年制)の専攻科、防衛大学校、防衛医科大学校、職業能力開発大学校など、水産大学校、海上保安大学校、気象大学校も、この換算方法によるとされています。

分野をまたいでもかまいません。消防試験研究センターはFAQ Q10で、機械・電気・工業化学・土木・建築のいずれかの分野に関する授業科目を合計15単位以上(複数の種類の合算も可)修得していることを証明すればよいとしています。

編集部の判断

合算してよいというのは、見落としやすいところです。電気だけで15単位に届かなくても、機械や建築の科目を足して届けばかまいません。

同じQ10に、証明書の発行には時間がかかることがあるので余裕をもって申請してほしい、という注意も書かれています。

学歴を使わない道が18通りある

確認した事実

消防試験研究センターの「国家資格等による受験資格」の表には、18の行があります。実務経験によるもの、他の免状によるもの、検定や技能士によるものが混在しています。

  • 受験する類以外の甲種消防設備士免状の交付を受けている者
  • 乙種消防設備士免状の交付を受けた後2年以上、工事整備対象設備等の整備の経験がある者
  • 電気工事士免状の交付を受けている者
  • 第1種・第2種・第3種の電気主任技術者免状の交付を受けている者
  • 技術士第2次試験に合格した者、1級・2級建築士、1級・2級管工事施工管理技士、1級・2級配管技能士
  • 高等学校の工業の教科について普通免許状を有する者、無線従事者(アマチュア無線技士を除く)
  • 給水装置工事主任技術者、ガス主任技術者(第4類の受験に限る)
  • 消防用設備等(受験しようとする類に係るものに限る)の工事の補助者として5年以上の実務経験がある者
  • 消防行政に関わる事務のうち消防用設備等に関する事務について3年以上の実務経験がある者

このほか、専門学校卒業程度検定試験の合格者、昭和41年4月21日以前の実務経験3年、旧制度の消防設備士などが含まれています。

編集部の判断

18通りのうち、いくつかには範囲の限定が付いています。ガス主任技術者は第4類の受験に限られ、工事の補助者5年は受験しようとする類に係る消防用設備等に限られます。「資格を持っているから受けられる」ではなく、どの類を受けるのかとセットで見ることになります。

合格ではなく「免状の交付」が条件

公式の記載

消防試験研究センター「よくある質問」Q12より。

「消防設備士の資格は、免状の交付を受けなければ取得したことになりません。したがって、試験に合格しても、次回試験の受験願書提出時までに免状を交付されていなければ、試験科目の免除を受けることができません。」

確認した事実

受験資格の表も、ほとんどが「免状の交付を受けている者」という書き方です。電気工事士は「電気工事士法第2条第4項に規定する電気工事士免状の交付を受けている者」、電気主任技術者とガス主任技術者と給水装置工事主任技術者も同じ形です。

消防試験研究センターはFAQ Q4で、認定電気工事従事者認定証では受験資格がないこと、第一種または第二種電気工事士免状を有していることが必要であることを明記しています。

編集部の判断

試験に受かっただけでは足りません。第二種電気工事士の試験に合格して、まだ免状の交付申請をしていない段階では、受験資格として使えないことになります。

第二種電気工事士からの接続は免状交付申請を済ませてからです。試験科目の免除についても同じで、次回試験の受験願書を出す時点で免状が交付されている必要があります。

甲種特類だけは別の扱い

確認した事実

施行規則第33条の8第2項は、甲種特類の試験を受けることができる者を、第1類から第3類までのいずれか、第4類及び第5類の指定区分に係る免状の交付を受けている者としています。消防試験研究センターも3種類以上の免状が必要であると案内しています。

学歴や他の国家資格では受けられません。証明書類も、それらの免状の写しです。

編集部の判断

甲種特類は、単独で受けられない試験です。先に3つの類を取る必要があります。最初に目指すものではありません。

受験資格を証明する書類

どの道で受けるか出すもの
学歴(指定学科・課程)卒業証書・学位記のコピー、または卒業証明書・単位修得証明書・科目履修証明書の原本かコピー
実務経験実務経験証明書(受験願書のB面の様式に記入)
免状・免許(消防設備士・電気工事士・電気主任技術者・教員免許状・無線従事者・建築士など)免許・免許証等の写し
技術士・修士博士・検定合格・施工管理技士・配管技能士修了・合格証書等の写し

※ 消防試験研究センター「受験資格」より。証明書類が外国語の場合は日本語訳を添付します(確認日 2026-10-15)。

確認した事実

2回目以降は省ける場合があります。過去にいずれかの支部で甲種の受験願書を受理された人は、そのときの受験票または試験結果通知書があれば、甲種(特類以外)の受験資格の証明書に代えることができるとされています。

まとめ

  • 乙種には受験資格がない。誰でも受けられる
  • 甲種(特類以外)の道は、国家資格等18通り・学歴13通り
  • 学歴ルートは13項目。卒業で見るものと修得した単位で見るものが並んでいる。学科・課程で該当すれば単位は数えない
  • 学科・課程で該当しない人も、単位で見るルートを使える。大学・短大・5年制高専・専門学校は15単位、高等学校・中等教育学校は8単位
  • 法令本文にあるのは15単位だけ。消防法・施行令・施行規則の本則を全数検索して「八単位」は0件。8単位の告示上の根拠はまだ確認できていない
  • 単位は分野をまたいで合算してよい。各種学校などは講義15時間・実習30時間・実験実習実技45時間で1単位
  • 資格ルートはほとんどが「免状の交付を受けている者」。試験に合格しただけでは使えない。認定電気工事従事者認定証では受験資格にならない
  • いくつかの資格には類の限定がある(ガス主任技術者は第4類のみ、工事の補助者5年は受験する類に係るものに限る)
  • 甲種特類は3種類以上の免状が要る。単独では受けられない

情報源:一般財団法人消防試験研究センター「受験資格|消防設備士試験」、同「甲種について|消防設備士試験」、同「消防設備士試験について|よくある質問」、e-Gov法令検索「消防法」第17条の8、同「消防法施行規則」第33条の8(確認日 2026-10-15)

この記事を書いた人

Web制作・サイト運用歴20年

消防設備士の他の記事