家畜人工授精師の取得費用はいくら?受講料・免許手数料と、県で違う日程
家畜人工授精師の費用は、講習会の受講料と免許申請の手数料と実費の3つに分かれます。確認できた範囲では、受講料が22,800円から38,000円、免許申請の手数料が1,800円から2,100円でした。受講料のほうが20倍近く大きく、しかも希望する県で必ず受講できるわけではありません。日程も県でまったく違います。
結論:費用は3つに分かれる
| 何に | いくら | 払う相手 |
|---|---|---|
| 講習会の受講料 | 22,800円〜38,000円(確認できた5県) | 講習会を開く都道府県 |
| 免許申請の手数料 | 1,800円〜2,100円(確認できた4県) | 住所地の都道府県 |
| 実費 | 金額は人と場所による | 医療機関・市区町村・交通機関など |
※ 各県の公表資料を当サイトが集計したもの。全国を調べ切ったものではありません(確認日 2026-10-14)。
2つの金額は性格が違います。受講料は講習会を開く県に、免許申請の手数料は自分の住所地の県に払います。同じ県になることが多いのは、受講資格が住所で区切られているからです。
免許までの流れは家畜人工授精師になるにはで扱いました。
講習会の受講料:確認できた5県は22,800円〜38,000円
| 県 | 受講料 | テキスト・教材 | 掲載日 |
|---|---|---|---|
| 静岡県 | 22,800円(静岡県収入証紙) | 記載なし | 2026-05-19 |
| 神奈川県 | 23,000円(電子納付) | 別途テキスト代が必要 | 2026-09-11 |
| 群馬県 | 35,000円(受講決定後納付) | 記載なし | 2026-04-27 |
| 富山県 | 35,000円 | テキスト代を含む | 2026-09-30 |
| 千葉県 | 38,000円(使用料及び手数料条例第3条第1項) | 教材費等は実費負担 | 2026-08-17 |
※ いずれも令和8年度の家畜人工授精に関する講習会。各県の公表ページより(確認日 2026-10-14)。
受講料だけを並べると見誤ります。テキスト代の扱いが県で違うからです。富山県は受講料に含み、神奈川県と千葉県は別です。
神奈川県は参考として、一般社団法人日本家畜人工授精師協会が発行する家畜人工授精講習会テキスト(家畜人工授精編)が税込9,000円であること、事前に購入して持参することを案内しています。これを足すと、見かけの23,000円は32,000円に近づきます。
静岡県「第79回家畜人工授精に関する講習会(牛・豚)の開催(R8年度)」の対象者より。
「静岡県立農林環境専門職大学又は静岡県立専門職大学短期大学部において所定の科目を全て修めた者又はそれと同等もしくはそれ以上の免除科目を有する者」
静岡県の22,800円は、この第79回の牛・豚の講習会のものです。誰でも申し込める回ではありません。金額だけを他県と並べて比べられるものではない点に注意してください。
富山県は、受講料の納入方法と納入期限は受講決定と合わせて通知するとしたうえで、納入後に受講を中止しても返金は行わないと明記しています。
千葉県は、申込時には収入証紙は不要で、受講者決定通知を受け取ってから購入して提出するとしています。群馬県も受講決定後の納付です。
免許申請の手数料:確認できた4県は1,800円〜2,100円
| 県 | 新規 | 書換交付・再交付 | 納め方 |
|---|---|---|---|
| 千葉県 | 1,800円 | — | 千葉県収入証紙 |
| 鳥取県 | 1,800円 | 1,700円(書換交付) | 4連式納付書 |
| 岡山県 | 1,970円 | 1,870円 | POS納付・電子納付など |
| 長野県 | 2,100円 | 1,900円 | 長野県収入証紙またはオンライン決済 |
※ 岡山県は令和8年4月1日時点の額。千葉県のページは令和7(2025)年8月19日更新、長野県は2026年4月1日更新(確認日 2026-10-14)。
納め方が県ごとに違います。鳥取県は令和3年9月30日をもって収入証紙の販売が終了したため、10月以降は4連式納付書で納入するよう案内しています。納付書は各家畜保健衛生所にあるとしています。
長野県は、従来の長野県収入証紙に加えて「ながの電子申請サービス」によるオンライン決済を選べるようになったとしています。岡山県はPOS納付や電子納付が利用できるとしています。
差は300円です。金額より、納め方を間違えないことのほうが実務では問題になります。収入証紙を想定して窓口に行っても、県によってはもう売っていません。
なお書換交付・再交付は、確認できた3県とも新規より安く設定されていました。
金額を出せない費用
施行規則第26条が免許の申請に求める書類のうち、次のものは自分で用意します。
- 視覚、聴覚、音声機能若しくは言語機能、上肢の機能若しくは精神の機能の障害または麻薬若しくは大麻の中毒者であるかどうかに関する医師の診断書(第3号)
- 戸籍謄本・戸籍抄本、または本籍の記載がある住民票の写しなど(第1号)
このほか、講習会の申込みでは履歴書に写真の貼付を求める県があります(千葉県・富山県)。会場までの交通費と、期間中の宿泊費もかかります。
診断書の料金は医療機関が決めるもので、公的な定めはありません。戸籍謄本などの手数料も市区町村によります。当サイトはこれらの金額を確認できていないので、具体的な額は載せません。かかりつけ医と市区町村の窓口でご確認ください。
交通費と宿泊費は、次に書く日程の長さがそのまま効いてきます。
受講料が安い県を自由に選べるとは限らない
確認できた5県の受講資格です。
- 富山県:富山県内在住または出身者で、牛の人工授精業務に従事しようとする者
- 千葉県:原則として千葉県に住所を有する者で、免許取得後に家畜人工授精に関する業務に従事する予定の者
- 神奈川県:受講予定人数20名。県内就業者・就業予定者、県内在住者を優先
- 群馬県:県外在住者は、居住する都道府県の畜産主務課長の推薦または所属する公官庁の所属長の推薦が必要。希望者が定員を上回る場合は県内在住者を優先。定員10名以内
- 静岡県:所定の科目を全て修めた者または同等以上の免除科目を有する者
千葉県は定員15名程度で、最少催行人数はおおむね10名、満たない場合は開催を中止することがあるとしています。
受講料に約1.7倍の開きがあっても、安いほうを選べばよいという話にはなりません。住所か就業予定で優先順位が付くうえ、定員が10名から20名と小さいからです。
県外からの受講を一律に閉ざしている県ばかりではありません。群馬県は県外在住者でも推薦があれば申し込めますし、神奈川県は県内関係者を「優先」とする書き方です。それでも、定員を上回れば県内在住者が優先されると明記されています。
費用を調べるときは「全国の相場」ではなく、自分の県がいくらで、いつ開くかから見ることになります。
日程は県でまったく違う
| 県 | 講習会 | 修業試験 |
|---|---|---|
| 群馬県 | 令和8年6月25日〜7月24日(土曜・日曜・祝祭日を除く) | 7月27日〜7月29日 |
| 神奈川県 | 令和8年7月17日〜7月29日、7月30日〜8月17日(会場が2か所) | 記載なし |
| 静岡県 | 令和8年8月18日〜9月4日(土日祝と9月3日を除く) | 記載なし |
| 富山県 | 令和8年10月15日〜11月20日(10月22日と土日祝を除く) | 学科11月4日・実技11月20日 |
| 千葉県 | 令和8年11月9日〜12月9日(土曜・日曜・祝日を除く22日間) | 記載なし |
※ 令和8年度の各県の公表ページより(確認日 2026-10-14)。いずれも申込みは終了しています。
6月から12月まで、開く時期がばらばらです。千葉県の22日間という日程を全国共通のものとして考えないでください。期間の長さも1か月前後から2か月近くまで幅があります。
修業試験を講習会のあと別日程で行う県(群馬県)と、期間の途中に組み込む県(富山県は学科が11月4日で、実技が最終日の11月20日)があります。最終日まで拘束される前提で予定を空けることになります。
富山県は、学科講習のうち10月15日のみオンライン(Zoomミーティング)、10月16日から10月30日まではサテライト会場での受講が可能としています。
通う距離がそのまま交通費になるので、オンラインやサテライト会場の扱いは費用に直接響きます。確認できた5県のうち、こうした案内があったのは富山県だけでした。
千葉県の例で足してみる
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 講習会の受講料 | 38,000円 |
| 免許申請の手数料 | 1,800円 |
| 小計 | 39,800円 |
| 教材費等 | 実費(額は確認できていません) |
| 医師の診断書・戸籍謄本等・写真 | 実費(同上) |
| 交通費・宿泊費 | 実費(同上) |
※ 千葉県の2つの公表ページから当サイトが合計したもの。他県では額が変わります(確認日 2026-10-14)。
確認できた範囲で金額が決まっているのは39,800円までです。ここから先は人によって変わります。土日祝を除く22日間を通う前提なので、交通費が積み上がる人は、この小計より実費のほうが大きくなることもあります。
まとめ
- 費用は受講料・免許申請の手数料・実費の3つ。払う相手も別
- 受講料は確認できた5県で22,800円〜38,000円。ただしテキスト代を含む県と別の県がある
- 免許申請の手数料は確認できた4県で1,800円〜2,100円。差は300円で、納め方のほうが県ごとに違う
- 鳥取県は収入証紙の販売が終了しており、4連式納付書。長野県と岡山県は電子納付が選べる
- 診断書・戸籍謄本等・写真・交通費・宿泊費は実費。当サイトは額を確認できていないので載せていません
- 受講資格が住所や就業予定で区切られているため、安い県を選ぶという比べ方はできない
- 日程は6月から12月までばらばら。千葉県の22日間を全国共通として扱わない
- 千葉県の例では受講料と手数料の小計が39,800円。実費はここに加わる
情報源:千葉県「家畜人工授精師免許について」、千葉県「家畜人工授精師免許の申請について」、長野県「家畜人工授精師免許申請について」、岡山県「家畜人工授精師免許に関する手続き」、鳥取県「家畜人工授精師関係」、群馬県「家畜人工授精師等養成講習会(令和8年度)」、神奈川県「家畜人工授精師養成講習会について」、静岡県「第79回家畜人工授精に関する講習会(牛・豚)の開催(R8年度)」、富山県「家畜(牛)人工授精師講習会の実施について」、e-Gov法令検索「家畜改良増殖法施行規則」第26条(確認日 2026-10-14)